歯科医院で行う、歯石除去とクリーニングの違いをご存知ですか?
歯石除去とクリーニングという言葉は同じように使われる場合が多いですが、厳密には異なります。
歯石除去は歯周病治療として行うもの、クリーニングは予防や審美目的で行われる処置です。
歯石除去(スケーリング)とは
歯石除去は、保険適用で行われる歯周病治療です。
歯の表面についた歯石を、専門的な機械で除去します。
歯石やプラークは細菌の塊であり、除去しないと歯肉の腫れや出血、歯を支える歯槽骨が破壊する歯周病を引き起こす原因となります。
歯石除去は病気の治療に対して行われる処置のため、保険で行うには歯石除去の前に歯周病の検査が必要になります。
検査の結果、歯周病の治療が必要と診断された場合のみ、保険適用が可能です。
歯周病治療の流れ
- 歯周病検査
- 歯磨き指導
- スケーリング(歯石除去)
- 歯周病検査
- スケーリング・ルートプレーニング
- 再評価検査
- メンテナンス
スケーリングの前にレントゲン撮影や歯周ポケット検査を行い、歯周病の進行度合いを確認します。
歯磨き指導で普段の磨き方の癖や磨き残しをチェックしたのち、歯肉より上についている歯石(縁上歯石)を除去します。
歯肉縁上の歯石を除去した後は、間隔をあけて歯周病の再検査を行います。
歯周ポケットが4 mmある部分は、歯周ポケット内の歯石(縁下歯石)を除去する必要があるので、スケーリング・ルートプレーニングを行います。
スケーリング・ルートプレーニングは、深い歯周ポケットの場合は麻酔を使用し、歯周病の進行度合いによっては麻酔が必要な治療です。
必要に応じてフラップなどの歯周外科手術を行います。
その後、再評価検査が安定していれば定期的なメンテナンスという一連の流れが、保険治療のルールです。
クリーニングとは
歯石除去に対し歯のクリーニングとは、歯石のほかに歯についた細菌の膜であるバイオフィルムや着色を取り除く処置です。
タバコのヤニやコーヒー紅茶などの歯についた着色を除去することによって、見た目もきれいになり、歯の表面をツルツルにすることで汚れがつきにくくなります。
歯石除去は保険での処置となりますが、着色は歯周病や虫歯の直接的な原因にはならないので保険適用外となります。
クリーニングは、PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)とも呼ばれます。
クリーニングをする前に歯周病検査の必要はありません。
保険の歯石除去とクリーニングは、費用だけではなく使用する機械も異なります。
超音波スケーラーの他に、ジェットポリッシャー(エアフロー)という重炭酸ナトリウムのパウダーと水を噴射して着色をきれいにする方法もあります。
ジェットポリッシャーは歯の表面を傷つけることなく、頑固な着色もしっかりと取り除けるといったメリットがあります。
施術時間と通院回数は?
歯石除去の施術時間は30分から60分ほどです。
軽度の歯周病の場合は3回ほど、重度の歯周病の場合は10回ほど治療回数がかかる場合もあります。
クリーニングの施術時間は60分から90分ほどで、回数も一回で完了します。
しかし、歯石の量が多い場合は最初に保険の歯石除去で歯周病治療を行なってから、クリーニングをすることをおすすめします。
クリーニング(PMTC)の方が虫歯や歯周病の予防効果は高いですが、保険の歯石除去(スケーリング)でも十分に効果があります。
3〜4ヶ月のメンテナンスで、虫歯や歯周病のチェックやフッ素塗布を行うことでより健康な口腔内を維持することができます。
ブラッシングなどのセルフケアで取り除けない汚れは歯科医院で除去しましょう。
詳しくは歯科医師、歯科衛生士にご相談ください。